どうも!!ブログ管理人のfujiです。
コロナショックでの全世界同時大暴落や米国市場でのサーキットブレーカーを契機に、投資チャンスであると新たに投資を始める人が増えました。
その中でも時間を味方にする積立投資が投資初心者には人気があり、積立NISA口座やiDeCo口座の開設数が鰻登りになりました。
特に節税メリットが満載な確定拠出年金を活用して長期の積立投資を実践するのは資産形成では効果的ですが、確定拠出年金にも大きなデメリットがあります。
確定拠出年金の大きな落とし穴である特別法人税への理解がないままに積立を開始すると、後々想定外の損失を出す恐れがあります。
そこで今回は確定拠出年金の特別法人税についての解説と、特別法人税を踏まえた上で確定拠出年金に投資すべきかどうかについて解説します。
確定拠出年金の落とし穴である特別法人税とはなんなのか??
まずは確定確定拠出年金の特別法人税について解説します。
iDeCoなどの確定拠出年金について詳しく知りたい方は、下記記事で詳しく解説しているので参照してみてください。
節税で先送りされた税金に対して課税する特別法人税
iDeCoや企業型DCなどの確定拠出年金の掛け金全額が控除対象になります。
ざっくり説明すると、掛け金の分年収が下がったとみなして所得税や住民税が計算されることとなります。
年収にもよりますが掛け金の15〜55%の金額分税金が安くなります。
年収400万円の人であれば、掛け金の20%が節税されることとなります。
また、株式投資等の利益については2割ほど税金がかかりますが、確定拠出年金の運用益については全て非課税です。
確定拠出年金満期の60歳の受け取り時には課税されますが、退職金控除や年金控除を駆使すれば非課税で受け取ることが可能です。
このように確定拠出年金の運用期間中から受け取り時まで税制メリットが強烈ですが、運用期間中の税金が先送りされているということで特別法人税という形で確定拠出年金から税金を取るように会いました。
・特別法人税は積立金の全額に対して課税される
特別法人税はiDeCoや企業型DCなどの確定拠出年金の積立元金に対して1.173%の税金が毎年かかってきます。
企業年金と言われる確定給付年金(DB)に対しては積立元金だけでなく運用益に対しても特別法人税がかかってきますが、iDeCoや企業型DCにおいては積立元金に対してだけです。
特別法人税の内訳としては以下のようになります。
・法人税:1%
・地方税:0.129%
・地方法人税:0.044%
毎年1.173%の経費がかかると考えたらとてつもないぼったくり投資信託ですよね。
確定拠出年金で積み立てる商品の信託報酬率は別でかかってくるので、特別法人税と投資信託商品の経費を合計したら1.4〜1.8%くらいが経費としてかかってくる可能性があるのです。
・元本保証型の商品を選ぶとマイナスになる可能性がある
確定拠出年金の投資商品の中には株式や債券だけでなく元本保証型の商品もあります。
投資が苦手であったり、50代の積立期間を長期に確保できない人にとっては節税メリットを享受するために元本保証型を選ぶ人も少なからずいるでしょう。
しかし、元本保証型の商品に投資しても運用益が出ないどころか、特別法人税によって毎年元本が1.173%ずつ減っていくこととなります。
積立当初は影響は少ないですが、元本が増えれば増えるほど特別法人税の影響は巨大になってきます。
年収400万円の人が毎月2万円を確定拠出年金で積み立てたとして、初年度の税金は2800円くらいです。
24万円の節税額としては5万円行かないくらいなので、税金を考慮しても4万円ほど節税メリットがあります。
この毎月2万円のペースで積み立てていくと、10年後に元金は約206万円ほどになりその年の特別法人税は約2万4000円ほどになります。
投資歴20年目には元金が約410万円になり、特別法人税は約4万8000円となり節税額とほぼ同等になります。
投資40年目では元金が約750万円に対して特別法人税は約8万8000円になり、投資額の33%が税金として引かれることとなります。
確定拠出年金の積立を開始して満期まで元本保証商品だけの積立を行う人はそうそういないかもしれません。
しかし、仮に40年元本保証型に積み立てると、節税額の累計が約192万円に対して特別法人税の累計額は約199万円となります。
運用益で増やすことができない元本保証型を選ぶことで節税メリットを享受できないだけでなく、最悪の場合マイナスに陥る可能性もあるのです。
バブル崩壊後に凍結された特別法人税
確定拠出年金の隠れた大きな落とし穴である特別法人税ですが、今現在は制度としては凍結されています。
なので毎年1.173%の特別法人税が引かれるということは今の所ありません。
・1999年以降ずっと凍結されている
特別法人税は1962年に制度が開始され、企業年金等に適応されることとなりました。
それからバブル崩壊後の1999年の4月から2年間凍結されます。
そして2年後の満期を迎えるも凍結は延長され、2021年の今現在も凍結状態であります。
満期になっては凍結延長を繰り返している特別法人税ですが、凍結であって廃止ではありません。
いつ特別法人税が復活するのかという時限爆弾を抱えた不安定な確定拠出年金ということになります。
今後確定拠出年金の特別法人税は復活するのか??
2021年の今現在凍結中である特別法人税ですが、今後特別法人税が凍結解除されることはあるのでしょうか??
私なりに特別法人税について考察してみたいと思います。
2023年まで特別法人税の凍結は確定されている
実は2020年3月末で特別法人税は満期を迎えていました。
しかし、今回も特別法人税は2023年3月末まで凍結が延期されることとなりました。
特別法人税の廃止に関しては多くの金融機関だけでなく、財務省や金融庁をはじめとした各省庁から廃止の要望が上がっています。
これほど多くの団体からの要望があるものの、廃止には至らず凍結延期ということになりました。
1999年以降約20年間もの間特別法人税を復活させることなく戦ったということには感心が持てますが、あと一歩のところで廃止に漕ぎ着けずにいます。
今後も廃止を第一目標に特別法人税の処遇について頑張ってほしいところですね。
2023年4月から特別法人税が復活する可能性は低い
私の見解では次の特別法人税の満期を迎えても、凍結解除になる可能性は低いと考えています。
そして、復活する可能性もほぼほぼないのではないかと考えています。
そう考える理由としては
・自助の時代での資産形成に必要
・諸外国に同等の制度はない
・貯金体質の国民を投資体質に変えたい
上記の3つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
・自助の時代での資産形成として確定拠出年金は必要
安倍総理から菅総理にバトンタッチされ「自助 共助 公助」を政策のスローガンとして掲げました。
まずは自分の力でどうにかなるか考えるということですね。
このようなスローガンを掲げるということは、国民一人ひとりを面倒を見るのに限界が来ているということです。
老後の年金の支給額や支給時期などの改変も少しずつされてますし、今のままでは年金支給額を考慮しても2000万円ほど生活費として足りないという試算も出ています。
そのような状況の中で自分の老後の生活費を形成する確定拠出年金について、改悪するようなことは無いと考えます。
自助の手段としてNISA制度や確定拠出年金制度は老後生活の大事な資金源です。
その制度に特別法人税という時限爆弾のスイッチを押すということは、国民の自助の邪魔をしていることに他なりませんからね。
今後も少子高齢化による景気の悪化や70歳定年など自助により生き抜かねばならない日本において、老後の生活の支えとなる確定拠出年金に対しての改悪はないでしょう。
・諸外国には特別法人税に当たる制度はない
日本の確定拠出年金制度はアメリカの個人年金制度である401Kをお手本にして制度が発足されました。
アメリカの制度をお手本にしてはいるものの、加入率としては2020年度末において1000万人にも到達していません。
それに対してアメリカの401Kは7000万人を超えています。
人口は3倍程度しか違わないのに、加入者数としては7倍もの開きがあります。
日本国民のマネーリテラシーの低さや、昭和のバブル時代に形成された現金貯金至上主義などが加入者増加の障害であると考えられます。
また、特別法人税の存在も新規参入者や掛け金額増加の足枷になっています。
いつ爆発するか分からない制度に大切なお金をかけるのも怖いことですからね。
アメリカを始め、イギリスやフランスやドイツなどにも401K制度に準じた制度は各国ありますが、どこの国にも特別法人税に該当する制度はありません。
そもそも特別法人税は高度経済成長期やバブル期での金利が高かった時代だったからこそ許されていた制度であって、現在の超低金利の時代において年率1.173%という税率はぼったくりです。
元本保証の定期預金でさえも年率7%超えなんて高利回り商品があった時代ですからね。
グローバルスタンダードにいくのであれば、確定拠出年金においては特別法人税の存在はナンセンスですね。
・国民の貯金体質を投資体質に変えていきたい
日本国民は世界一貯金が大好きな国民と言っても過言じゃありません。
日本に住む国民の資産残高は1903兆円で、そのうちの半分強に当たる1008兆円は現金として銀行口座やタンス貯金として眠ってます。
コロナ経済対策として2020年の6月頃に全国民一律に10万円を給付したものの、給付金配布後に現貯金が前期よりも4.9%も増加したようです。
※日経新聞:家計の金融資産、最高の1901兆円より
コロナ禍といえども消費をするのではなく、貯金第一という精神が骨の髄まで染み込んでる状態ですね。
1000兆円という莫大な金額の10%でも投資にお金が回ればそれなりの経済効果がありそうですが、日本国民は頑なに投資をしようとはしません。
そんな国民性を変えて、投資にアクティブになってもらいたい政府の思惑は少なからずあります。
1900兆円もの金融資産や現金を日本国民は保有してますが、今まで労働で溜め込んだお金であって投資で増やしてきたお金ではありません。
実際に日本国民の資産残高は海外と比較したときに相対的に下がっています。
2000年初頭と2020年を比較しても20%程度しか日本の資産残高は増えてませんが、アメリカやフランスなどの諸外国では2〜3倍増えているのです。
労働と貯金だけでは世界的に見て貧しくなっていきますし、投資を積極的にしてもらわないと日本の経済発展にもつながらないのです。
そのためにも確定拠出年金口座の増加を促すために、特別法人税を凍結解除することは考えに食いですね。
確定拠出年金制度を使って投資すべきなのか??
税制メリットが満載な確定拠出年金ですが、特別法人税という時限爆弾を抱えてます。
特別法人税が凍結解除される可能性は低いと考えますが、確定拠出年金を使って積立投資を開始するべきなのでしょうか???
まずは積立NISAから実践してみよう
政府が用意している節税メリットがある投資手段として確定拠出年金だけでなく、積立NISAという制度もあります。
一年間の上限が40万円で20年間配当や売却益に対しての税金が非課税になる制度です。
積立NISA制度を利用していない人は、まずは確定拠出年金を開始する前に積立NISA制度の上限金額まで投資を開始しましょう。
積立NISAをはじめとしたNISA制度には特別法人税などの劣悪な制度はありません。
シンプルに節税メリットがある優良な制度なのです。
NISA制度について詳しく知りたい方は、下記記事で解説してるので参照してみてください。
余力で確定拠出年金にチャレンジしよう
積立NISAの満額投資が完了したら、確定拠出年金を使って投資を始めましょう。
特別法人税の存在はありますが、復活の可能性も低いですし、何よりも税制メリットを全く利用しないのも勿体なさすぎです。
運用中から60歳満期の受け取り時まで節税メリットが多い制度なので、使えるものは使っていきましょう。
コツコツ積立で資産運用ができる投資初心者に相性ぴったりな制度ですからね。
iDeCoであれば個人事業主でなければ月額の上限が2万円程度なので、しっかりとした倹約を意識してコストカットすれば捻出できる金額です。
私の去年の年収はギリギリ400万円程度でしたが、毎月10万円以上投資や貯金にお金を回すことができています。
貯金や倹約のコツについての記事がありますので、下記から参照してみてください。
まとめ:特別法人税を加味しても確定拠出年金制度は検討の価値あり
特別法人税を加味しても確定拠出年金を使っての資産形成は検討すべきことであると考えます。
特別法人税は1960年代に作られた昔の制度であり、確定拠出年金のために作られた制度ではありません。
バブル崩壊以降特別法人税は凍結状態であり、確定拠出年金には一度も制度が適用されたことはありません。
凍結解除される可能性は少ないですし、確定拠出年金が資産形成の助けになることは間違いなしです。
積立NISAをはじめとしたNISA制度を満額活用して、余力で確定拠出年金を活用することで自助の日本での資産形成を頑張っていきましょう。
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