どうも!!ブログ管理人のfujiです。
私は2017年の夏頃に予備自衛官補試験に合格して予備自衛官補になりました。
そして3年で50日の訓練を修了し、2019年の秋ごろに予備自衛官二等陸士に任官しました。
予備自衛官補や予備自衛官には約5年ほど関わっていることになります。
これだけの期間関わっていると、予備自衛官制度や出頭訓練のムカつくところや改善してほしいところが多数出てきます。
そこで今回は予備自衛官制度をより良いものにするための嘆願書という意味合いも込めて、予備自衛官制度の改善点について具申させていただきます。
予備自衛官の充足率の低下は国防力の低下に直結します。
志願制の予備自衛官だからこそ、士気の高い部隊が沢山いるということが諸外国への威嚇となるのです。
低下し続ける予備自衛官の充足率の歯止めのために、この記事が防衛省のお偉いさんの目に留まることを期待したいと思います。
今こそ予備自衛官制度の改革が必要である
予備自衛官制度や訓練についての不満をぶちまける前に、予備自衛官制度改革の必要性について説明します。
低迷する予備自衛官の充足率
2013年ごろから始まった安倍首相の目玉政策であるアベノミクスにより、リーマンショックや東日本大震災での不景気が年を追うごとに改善していくこととなります。
景気が良くなると自衛隊などの公務員職種の人気は低迷していくので、予備自衛官のみならず現役の自衛官の充足率も低い水準にあります。※防衛省:自衛隊の人員構成より
特に現場の前線での実行部隊となる士の階級が充足率77%と、諸外国に比べても圧倒的に低い水準にあります。
この部分を有事の際に予備自衛官で補おうとしても、現職の自衛官以上に予備自衛官の充足率は低すぎるので絶望的です。
現職とほぼ同等の能力を発揮することが期待される即応予備自衛官の充足率は59.6%の約5000名、予備自衛官に至っては充足率70.7%の約3万3千名程度です。
米中貿易摩擦や米大統領交代による政策方針の転換、韓国や北朝鮮、中国やロシアなどの目と鼻の先の第一列島線にある日本では、防衛力の低下は戦争への引き金を自ら引く結果になる恐れがあります。
戦争はあくまでも外交カードの一つであり、現代においては行使するには戦力差が圧倒的になければ使うことが難しいジョーカーです。
隊員の充足率という目に見えてわかる弱点をそのままにするのは、国防上の危機といえます。
・OBばかりの老兵予備自衛官部隊
予備自衛官の9割が元自衛官であり、年齢の比較的若い公募予備自衛官は1割程度です。
定年まで自衛隊を勤め上げ、年金までのつなぎの一つとして予備自衛官をされている方が予備自衛官の主要構成員なのです。
なので、予備自衛官訓練に参加すれば見渡す限り老人だらけです。
年齢の若い任期制の元自衛官もちらほらいますが、8割以上は定年を迎えた老兵予備自衛官ばかりです。
経験に関しては年齢がモノをいいますが、実際の有事を考えると定年を迎えた54歳以降の初老部隊を運用するのは相当大変でしょう。
体力ばかりは普段から相当鍛えてなければ、年齢には勝てませんからね。
充足率が低いだけでなく、人員の質に関しても不安定な状態なのです。
・辞めていく人が続出する公募予備自衛官
一般的に士気が高く、年齢も若いということで公募出身の予備自衛官への期待は年々高まっていってます。
つい最近では、元自衛官でなければ志願することができなかった即応予備自衛官への門が、公募予備自衛官に開かれることとなりました。
一般人が公募予備自衛官になるには倍率約3〜5倍程度の採用試験に合格し、3年以内に50日の訓練カリキュラムをこなす必要があります。
学業や仕事の傍らこれらをこなすには、よほどの覚悟と周りの理解がなければこの鬼門を通過することはできないでしょう。
採用試験合格から予備自衛官任官まで到達できるのは10人中1〜2名程度だと言われています。
また、無事予備自衛官に任官しても訓練内容が普通科部隊に準じた訓練内容であるため、技能予備自衛官には戸惑いが生まれるようです。
特に医者や弁護士の資格で入隊した技能予備自衛官は、1尉や3佐などの幹部組になります。
幹部組は中隊長や指導部として予備自衛官訓練を運用する側になるので、分からない中で部隊を指揮・指導しなければなりません。
OBの曹や尉官が優しく教えてくれるということは階級が上の人間に対してはほぼないので、分からなかったり、間違えてしまったりと自信をなくす方が多いです。
しかも、技能予備自衛官を対象とした特殊な訓練はありますが、通常の予備自衛官訓練では自らの技能をフル活用する機会はほぼありません。
自分の技能を生かす機会もなく、できもしない部隊指揮を任される苦痛から幹部組の技能公募予備自衛官はすぐに辞めてします人が多いようです。
敷居の高い予備自衛官制度
予備自衛官訓練に参加することは、本業をこなしながらではかなり敷居の高いことと言えます。
・連続5日間の訓練出頭
5日間訓練は分割して出頭することができますが、それはあくまで予備自衛官訓練の話であり、予備自衛官補の5日間訓練には適応されません。
よっぽどのホワイト企業か長期休暇のある学生でなければ、5日間という期間を捻出することは難しいでしょう。
しかも3年以内に5日間連続の休みを10回も作る必要があるので、スケジュール管理の鬼畜さからそもそも予備自衛官補から予備自衛官を目指すことのハードルが高すぎです。
事実予備自衛官補訓練の8割以上は大学生です。
社会人で予備自衛官補訓練に参加している人は少数派なのです。
・金額が少ない訓練日当手当
訓練に出頭すると日当として予備自衛官補なら7900円、予備自衛官なら8100円の手当が支給されます。
即応予備自衛官であれば階級によりますが、1万円〜と予備自衛官の中ではそれなりの待遇です。
予備自衛官の給与事情について詳しく知りたい方は、下記記事で日当以外の手当についても解説してるので参照して見てください。
全ての会社員が有給休暇を使用して訓練に参加しているわけではなく、中には無休休暇を利用して訓練に出頭している人もいます。
そうなった時に手当が8000円程度では、本業との給与の差が大きすぎて割に合わないです。
日当8000円なんて月給16万円程度の高卒1年目程度の給与水準ですからね。
予備自衛官として頑張りたい気持ちがあっても、目の前の生活が疎かになるなら途中で諦めたり、そもそも割に合わないから志願する人も少なくなっていくでしょう。
アルバイト程度の給与水準であるのは、これから予備自衛官を存続するにあたって大きな障害となるでしょう。
予備自衛官制度のここを変えてほしい:訓練面
予備自衛官制度での変えてほしいところを訓練面と制度面の2つの項目について言及していきます。
まずは訓練面での改善点や不満に思っていることについて思いの丈をぶちまけます。
野外演習場の衛生面について改善して欲しい
実弾射撃であったり戦闘訓練を実施する場所として、駐屯地外の野外演習場に行く機会があります。
ほとんどの野外演習場が山の中であったり、人里離れた場所にあります。
また、普段から自衛隊の隊員が常駐しているわけではないので、演習場の衛生面はまじで最悪です。
・トイレの環境がマジで劣悪
野外演習場のトイレはとてもじゃないけど使えたもんじゃありません。
小便所ならまだしも、大便所を使うには精神的苦痛が伴います。
とりあえず汚いし、虫がウヨウヨいるし、臭いが最悪です。
もちろん和式トイレなので、戦闘服を脱いで用をたすには細心の注意が必要です。
しかも場所によっては手洗いの水が出なかったり、そもそもなかったりします。
その場合は手を洗うのを我慢するか、演習場によっては小川が流れてることがあるのでそこで手を洗うしかありません。
予備自衛官訓練で野外演習場に行く機会はそう多くはありませんが、カリキュラムによっては一日中演習場での訓練になることがあります。
トイレを使用せずに一日の訓練をこなすのはほぼ不可能なので、誰しもが快適に使えるトイレを設置してほしいですね。
消耗品や備品を実費で購入しなければならない
訓練駐屯地によりますが、予備自衛官補の訓練に参加する時には多くの備品や消耗品を自腹で払わなければなりません。
国の一般会計の費用の中に防衛費がありますが、年間5兆円程度と潤沢に資金があるわけではないのです。
GDP比で言うと日本は0.9%であり、韓国の2.6%や中国の1.9%と比較しても低い水準なのです。
よって各駐屯地への予算配分の中で予備自衛官補の訓練費用を賄おうとしても、潤沢に資金があるわけではないので予備自衛官関係にはあまりお金を使えません。
そのしわ寄せが予備自衛官補訓練に参加する人に直接降りかかってくるのです。
ここからお話することは予備自衛官補時代の私の実体験ではありますが、全ての訓練駐屯地がこのような状況ではないと言うことを理解してくれてば幸いです。
・トイレットペーパーは居室に1個のみ
訓練を受ける5日間は6〜10名程度の団体行動になります。
狭い居室にぎゅうぎゅう詰めに2段ベットが並べられているのです。
その居室に対してトイレットペーパーが1個だけ支給されます。
無くなったら班長室に行って取りに行くのですが、班長室に入る際の入室要領や紙の使用量について厳しく指導を受けることとなります。
ちなみに陸上自衛隊では紙の使用量は15cmと決められているそうです。
トイレにはトイレットペーパーはもちろん置いてないですし、1個ではもちろん足りません。
結局1人1個のトイレットペーパーを持参せざるおえない状況になります。
・石鹸水が置いてないor石鹸水がめちゃくちゃ薄い
今の時期はコロナウイルス等の懸念があるので改善しているかもですが、私が予備自衛官補訓練でお世話になってた駐屯地では手洗い用の石鹸水がめちゃくちゃ薄かったです。
緑色の原液を薄めてボトルに入れているのですが、泡が全く立たないくらいに薄かったです。
設置してくれているだけありがたいかもですが、ボトルが全部撤去されている時もありましたからね。
仕方なくハンドソープを駐屯地内の売店で買って、居室のみんなと使っていたのは今となっては良い思い出です。
・大量に消費するブラックテープは自己負担
64式小銃を使って訓練をするときは、部品の脱落防止を目的に黒のビニールテープで落ちないように保護します。
予備自補訓練のC課程以降は、ほぼ毎日小銃を使っての訓練になります。
小銃の至る所にテープを巻きつけるので、5日間の訓練中に1個では足りなくなることもあります。
しかも小銃だけでなく銃剣にもテープを巻きつける必要があります。
1個100円程度のものですが、チリも積もればなんとやらですよ。
・訓練に必要なアイテムももちろん自己負担
ブラックテープ以外にも、訓練に必要なアイテムは自己負担で揃える必要があります。
・脱落防止フック
・銃剣留め
・迷彩手袋
・靴墨
上げ出したらキリがありませんが、全てを揃えようとしたらキリがありません。
自分用がなくても訓練に支障はないものもありますが、自分のを揃えておかないと時間との戦いの予備自衛官訓練なので辛い思いをするのは自分自身です。
訓練参加にあたって必要なアイテムや用途について下記記事で解説してるのでぜひ見てください。
実費で揃えなくても良いような改革がなされることを期待してますがね。
技能予備自衛官の訓練日数が短すぎる
余計なお節介かもしれませんが、技能予備自衛官補の訓練日数が10日間と短すぎです。
せめて倍の20日くらいはあってもいいはずです。
一般予備自衛官補の訓練日数は50日でしたが、この日数をかけても基本動作や号令、銃の扱い等に関してはやっとといった感じです。
実際に予備自衛官訓練で技能の人とお会いする機会がありますが、やはり基本動作の練度が不十分過ぎですし、中隊長や幹部組の階級にもかかわらずまともな号令や指示を出せないのは可哀想すぎです。
能力がないからではなく、十分な訓練を受けさせてないからこのような結果になるのです。
技能予備自衛官補の訓練日数を倍の20日に設定するか、技能予備自衛官に任官した人の中で希望者を募り、基本動作の補講訓練を実施するなどのケアが必要でしょう。
優秀な人材がしょうもないことで予備自衛官を辞めていくのはもったいないですからね。
予備自衛官制度のここを変えて欲しい:制度面
次に制度面について改善してほしいところについて思いの丈をぶちまけます。
5日間連続出頭は社会人にはハードルが高すぎる
少し触れた内容ではありますが、予備自衛官補訓練は5日間連続の出頭が必須なので社会人にはハードルが高すぎです。
予備自衛官みたく分割出頭はできませんし、訓練駐屯地によっては月〜金曜日の平日5日間のカリキュラムしかないこともあります。
仕事休みの土日を使えずに、平日5日間を有給で処理するのはなかな難しいですよね。
予備自衛官制度に関して理解のある会社や上司であればいいですが、知らない人からしたら会社を休んで自衛隊で遊んでいると思われることもあるでしょう。
せめて前泊が必須であることも考えて、3日間の訓練日程で組んで欲しいところですね。
土日を含んだ三日間であれば有給を1日消費するだけで済むので、社会人でも負担なく訓練に参加することができるでしょう。
日数が少なくなった分回数を多くすればいいだけなので、10✖️5日から16✖️3日にするのはどうでしょうか???
訓練を実施する駐屯地への負担は増えるでしょうが、予備自衛官充足率向上を目指すのであればこれくらいの改革をしなければならないでしょう。
予備自衛官手当が少なすぎる
これも少し前に触れた内容になりますが、予備自衛官手当が少なすぎです。
即応予備自衛官に関しては年間30日の訓練というハードさがありますが、それに見合った手当を貰えているでしょう。
階級にもよりますが50〜60万円くらいの手当を貰うことができます。
それに対して予備自衛官は年間5日間という少ない訓練日数と毎月4000円という手当しか貰えないので、年間で88500円ということになります。
本業との都合をつけて日々の訓練の出頭やいざ招集がかかった際の負担を鑑みても、年間の9万円弱という金額は少なすぎです。
小銃による実弾射撃ができたり副業禁止の企業でも予備自衛官はOKということもありますが、こんな低額の手当でやるには人は少数でしょう。
頑張って予備自衛官補から予備自衛官になった人でも、この仕打ちを食らったら辞めていく人が後をたたないのも納得です。
予備自衛官補では厳しいかもしれませんが、せめて予備自衛官の手当て額の向上が充足率を上げるには必須なのです。
予備自衛官の社会的認知・地位が低すぎる
東日本大震災や熊本地震での予備自衛官の活躍がピックアップされて、最近では少しずつ認知されるようになってきました。
しかし、それでもまだまだ一般的には認知されておらず、予備自衛官を知らない人からしたら「なにそれ美味しいの??」状態です。
認知されてないならまだしも、予備自衛官をやりながら本業を頑張っている人に対しての風当たりは強い状態なのです。
・遊びで副業をしているという風潮がある
上司からしたら、訓練のために5日間も本業を疎かにしているという事実を許せないという人もいます。
抜けた穴埋めを残りの社員でやらなければなりませんし、有給を使いつつ自衛隊で稼いでると思われても仕方のない状況です。
年間5日間の訓練で済む予備自衛官ならまだしも、年間30日の即応予備自衛官や3年で50日の予備自衛官補にとってはなおさらでしょう。
実際に私も予備自衛官補の訓練カリキュラムを期間内に終了させるために3ヶ月連続で5日間訓練に出頭したときには、上司から心無い暴言を吐かれたことがあります。
それだけでなく、プロジェクトのメンバー変更であったり理不尽な業務対応をさせられたこともあります。
今の部署では幸い上司に恵まれそのようなことはありませんが、会社に勤めながら予備自衛官になっている人の中にはこのようなことで悩まれてる方はたくさんいます。
予備自衛官の身分を保証するために自衛隊法では以下のような条文があります。
自衛隊法第73条
何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、予備自衛官である者に対し、その予備自衛官であることを理由として不利益な取扱をしてはならない。
自衛隊法第73条2項
すべて使用者は、被用者が予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
このような身分保証のための条文はあるものの罰則等は一切ないので、このルールは機能していません。
このような逆境の中どれだけの人間が本業を犠牲にして予備自衛官を頑張れる人がいるでしょうか。
生活の基盤が務めている会社である以上は、リスクを冒してまで予備自衛官になる人はそう多くはないでしょう。
予備自衛官や予備自衛官補の身分保証や地位向上が課題なのです。
まとめ:現状のままでは予備自衛官の充足率は上がらない
自然災害が猛威を振るう現代において予備自衛官の活躍の場や認知が上がってきたとは思いますが、それでも依然として低い充足率は変わりません。
少子高齢化により人口がこれからも減っていく日本においては、予備自衛官を魅力的でやりがいがありつつも手厚い保証と手当てを兼ね備えたものにしなければなりません。
充足率の低下は敵国の侵攻を誘発する原因になります。
どれだけ高性能な兵器を揃えても、使う人間がいなければ意味がありませんからね。
充足率の向上のために、国防力向上のために、予備自衛官制度の改革が必要なのです。
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